TSUNAGARU AI LABO
ノウハウ約7分

AIに社内の資料を読ませる前に、共有ドライブを「探せる形」に整える3つのルール

「AIに社内の資料を読ませたい」と思ったとき、最初につまずくのは AIではなく、資料の置き場所です。個人のマイドライブに散らばったファイル、「最新版_2」のような名前、誰も触らない古いフォルダ。Google ドライブの共有ドライブを、AIにも人にも探せる形に整えるための3つのルールを、手順と表でまとめます。

青木 真弓の顔写真

青木 真弓

システム開発・AI基盤モデル開発

棚にラベル付きのファイルボックスが整然と並び、一つだけ瑠璃色のボックスが差し色になっている静物の写真

「うちの資料を AI に読ませて、聞いたら答えてくれるようにしたい」

社内で AI 担当を任された方から、いちばんよく聞く相談です。そして実際に始めてみると、最初につまずくのは AI の性能ではありません。資料の置き場所です。

  • 大事な資料が、社員それぞれのマイドライブに散らばっている
  • 「見積書_最新」「見積書_最新_修正」「見積書_最新_修正2」が並んでいる
  • 退職した人のフォルダに、何が入っているか誰も知らない

人が探しても見つからない資料は、AI にとっても見つけにくい資料です。この記事では、Google ドライブの共有ドライブを「AI にも人にも探せる形」に整える3つのルールをまとめます。

まず、いまの状態と目指す状態

いま(よくある状態) 整えた後
置き場所 社員ごとのマイドライブに分散 会社の共有ドライブに集約
持ち主 作った人個人 会社(チーム)
退職・異動のとき 引き継ぎ漏れが出やすい 資料は共有ドライブに残る
ファイル名 「最新」「修正2」など人それぞれ 決まった順番で、日付と内容が分かる
古い資料 いまの資料と混ざっている 「過去分」として分けてある
AIに聞いたとき どれが正しい版か判断しにくい 元の資料を確かめやすい

共有ドライブに置いたファイルは、作った個人ではなくチームのものとして扱われます。社員が辞めても資料は残るので、AI の前に、属人化対策としても効く整理です(担当者が辞めるときの引き継ぎの話は「ベテラン社員が辞める前に——属人化業務をAIに「聞き書き」で残す3ステップ」でも書いています)。

ルール1:入口は「探すときに最初に思い浮かべるもの」で分ける

フォルダの分け方で迷ったら、**「その資料を探すとき、最初に何を思い浮かべるか」**で決めます。

資料の種類 最初に思い浮かべるもの フォルダの分け方の例
請求書・領収書 いつの分か 経理 → 2026年度 → 10月
見積書・提案書 どの取引先か 営業 → 取引先名 → 案件名
工事・製造の記録 どの案件か 案件 → 案件番号_現場名
社内ルール・マニュアル 何の手順か 総務 → マニュアル → 業務名

ポイントは、階層を深くしすぎないことです。3段くらいまでに収めると、人もAIも迷いにくくなります。そして決めた分け方は、A4一枚に書いて共有ドライブの一番上に置いておきます。

ルール2:ファイル名は「日付_内容_取引先」の順番に揃える

ファイル名は、AI が資料を探すときの大きな手がかりです。順番を決めて揃えるだけで、探しやすさが変わります。

ばらばらな名前 揃えた名前
見積書_最新_修正2 20261014_見積書_取引先名_案件名
会議メモ 20261014_議事録_定例営業会議
マニュアル新しいほう 20261001_マニュアル_受注入力_v2
  • 日付を先頭に:並べたときに時系列になり、「最新」と書く必要がなくなります
  • 「最新」「修正」は使わない:版は日付か「v2」で表します
  • 古い版は消さずに「過去分」フォルダへ:いまの版と混ざらないようにします

取引先から届く請求書のように、毎月たくさん来る資料は、名前付けと振り分けそのものを自動化することもできます(「請求書PDFを、GmailからDriveへ自動で振り分けて受領台帳にする」)。

小さな事務所で、社員が書類を種類ごとにファイルへ仕分けている様子。瑠璃色のファイルが差し色になっている

ルール3:「誰が見てよいか」を共有ドライブ単位で分ける

AI に資料を読ませるときに一番気をつけたいのが、見てはいけない人に見えてしまうことです。

共有ドライブは、ドライブごとにメンバーを決められます。そこで、見てよい人の範囲ごとにドライブを分けます。

共有ドライブ 見られる人 入れるもの
全社共有 社員全員 社内ルール、マニュアル、会社案内
営業・案件 営業と現場の担当者 見積、提案書、案件の記録
経理・人事 社長と担当者のみ 請求書、給与、評価に関わるもの

ただし、ドライブを分けるだけで安心してはいけません。マイドライブから移す前に個別に共有していた相手や、「リンクを知っている全員」の設定が残っていることがあります。移したら、大事なフォルダの共有相手とリンクの設定を一度見直し、必要なら管理者側で「メンバー以外への共有」を制限しておきます。

Google ドライブの中で使う Gemini は、使う社員がもともと見られる資料の範囲で答える仕組みです(ほかの AI サービスに資料をアップロードする場合は、そのサービス側の設定を別に確認してください)。だからこそ、「誰が見てよいか」を先に整えておくことが、AI を安心して全社に広げる前提になります。

今週からできる進め方

一度に全部やろうとすると止まります。次の順番で、小さく始めてください。

  1. 1部署・1種類の資料を選ぶ:たとえば「営業の見積書」だけ
  2. 共有ドライブを1つ作り、ルール1〜3を当てはめる:分け方を A4 一枚に書いて一番上に置く
  3. よく使う資料だけを移す:過去の全部ではなく、この1年によく開いたものから
  4. 2週間使ってみて、迷った点を直す:迷ったところが、次に決めるべきルールです

置き場所が整ったら、AI に社内の資料を読ませる段階に進めます。マニュアルを「AIに聞ける形」にする話は「誰も見ない社内マニュアルを、AIで「検索できる形」に書き直す」、案件ごとに資料をまとめて AI と話す方法は「Gemini の「案件ごとの箱」」が次の一歩になります。

社員みんなが同じルールで資料を扱えるようにする研修は、研修・講座でもご用意しています。

まとめ

  • AI に資料を読ませる前に、置き場所を整えるのが近道
  • ルールは3つ:入口は「最初に思い浮かべるもの」で分ける/ファイル名は「日付_内容_取引先」/見てよい人の範囲でドライブを分ける
  • 1部署・1種類の資料から小さく始め、2週間で直す

「うちの資料、どこから整理すればいい?」という段階からでも大丈夫です。無料相談からお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q. いま個人のマイドライブにある資料は、全部移さないといけませんか?

A. 全部を一度に移す必要はありません。まずは「よく使う・複数人で使う」資料だけを共有ドライブに移し、残りは使う機会が来たときに移す、で十分です。一気に移そうとすると止まってしまうので、1部署・1種類の資料から始めるのがおすすめです。

Q. フォルダの分け方は、部署ごとと取引先ごと、どちらがよいですか?

A. 「探すときに最初に思い浮かべるもの」で分けるのが基本です。経理の書類なら「年度→月」、営業や工事の資料なら「取引先や案件」で探すことが多いはずです。会社全体で1つの正解を決めるより、資料の種類ごとに入口を決め、その決め方を1枚の紙に書いて共有するほうが続きます。

Q. 整理したら、AIはすぐに社内の資料を正しく答えてくれますか?

A. 置き場所が整うと、AIが資料を見つけやすくなり、答えの元になった資料も確かめやすくなります。ただし、AIの答えをそのまま使ってよいわけではありません。特に金額や契約に関わる内容は、元の資料を開いて人が確認する運用にしてください。

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