TSUNAGARU AI LABO
事例約8分

顧問先の資料受付・仕分けが分散していた税理士法人が、社内アプリを内製化して「顧問先ごとに全部が1画面で見える」ようにした話(愛知県/案件事例)

愛知県内の税理士法人で、顧問先ごとの資料受付・仕訳の下ごしらえ・進捗管理が分散していた状態を、AI(Claude Code)と伴走して「顧問先ページ1枚」に集約する社内アプリを内製化した事例です。デモから始まり、業務フローの棚卸しを重ね、"仕事の一覧"と"顧問先の窓"の2つの見え方を持つv4に到達しました。企業名は伏せ、業種・地域・期間・規模の話し方だけを載せます(一部匿名化)。

中屋 茂美の顔写真

中屋 茂美

TSUNAGARU AI LABO 主宰/株式会社TRAVEL CREATE 代表

税理士法人の事務所で、顧問先ごとの資料が1つの画面に集約されていく様子を、瑠璃色を差し色にしたアイソメトリック構図で表現

税理士法人の現場は、経営者が想像するより資料の流れが複雑です。同じ顧問先の情報が、資料受付・仕訳の下ごしらえ・顧問先別の進捗管理・監査記録の4か所にバラバラに存在している、という状態が普通に起こります。

この記事は、愛知県内の税理士法人と伴走した、AIを使った社内アプリの内製化事例をまとめたものです。企業名は伏せています(一部匿名化)。同じ悩みを持つ他業種の経営者にも読んでほしいと思って書いています。

この案件の要点

項目 内容
業種/地域 税理士法人/愛知県内
期間 2026年7月着手 → 9月に v4 が本番の環境に反映、事務所内で運用が立ち上がる段階(約2か月)
課題 顧問先ごとの資料受付・仕訳の下ごしらえ・進捗管理が分散
導入したもの 社内アプリ(顧問先ページ+仕事の一覧の2軸)
開発の進め方 AI(Claude Code)を使った内製化伴走(当社が並走)
導入前 → 導入後の狙い バラバラの複数個所を見て回る → 顧問先ページ1枚で全体像が見える/仕事の一覧で"止まっている理由"が見える
人が確認する範囲 仕訳の中身・顧問先とのやり取りの内容は必ず担当者が確認(AIは並べ替えと下ごしらえまで)

※数値・内容は実際の支援に基づきます(一部匿名化)。

どこが重かったか

税理士法人の「日々の重さ」は、担当者に聞くと3つに集約されました。

  • ① 資料受付が散らばる:顧問先からの資料は、メール添付・郵送・訪問時の手渡し・チャット・FAX・共有フォルダなど複数の経路で入る。どこにあるかを覚えているのは担当者本人だけ
  • ② 顧問先別の"いま"を見る画面がない:所長が「A社、今どこまで進んでる?」と聞くと、担当者はメール・共有フォルダ・仕訳ソフトを開き直す。1日に何度も繰り返している
  • ③ 引継ぎが担当者の頭に依存:担当者が休んだ日は、他の人が「A社の今」を組み立て直す必要がある

「作業が重い」だけでなく、"人の頭にしか情報がない"状態を、事務所全体の脆弱性として代表が認識していることが着手の背景でした。

デモから始めて、たたき台(モック)を4回作り直した

一気に「完成品」を目指さず、デモ・v1・v2・v3・v3.1・v4と、見せて違和感が出た部分を毎回作り直す進め方を採りました。ここでいう「モック」とは、まだ本番データとは繋げていない、画面と操作だけを作ったサンプル版のことです。

  • デモ:まず「こういう画面ならどうか」の叩き台。方向感の確認
  • v2:業務フローを棚卸しし、資料回収からのDrive連携・受信トレイ・仕訳アプリ棚・顧客共有画面を組み込み
  • v3:見せたら「初心者向けすぎる」と差し戻し。文字を大きくしすぎ、画面が"別世界"に見えていた
  • v3.1:見た目をv2標準に戻し、"かんたん版"は別のページ(/kantan)に切り出した
  • v4:本質的な作り直し。"1顧問先=1ページ(窓型)" と "仕事の一覧(工程リレー型)" の2つの見え方を持たせた

「1回で決めきらない」を最初から前提にしたことで、「思っていたのと違う」の巻き戻しコストが、毎回1枚のモックで済みました。もし要件を紙で完全に固めてから作り始めていたら、v3の差し戻しの時点でまとまった量の作業が空振りになっていたはずです。

税理士法人の担当者が、顧問先ページと仕事の一覧を切り替えながら、資料受付から仕訳までの流れを1画面で追う様子

v4が持つ、2つの見え方

最終的に着地したv4は、同じデータを2つの見え方で持ちます。

見え方 主軸 使う人・使う場面
顧問先ページ 顧問先を縦軸にした「窓」 A社の"いま"を1枚で把握したい場面(電話・訪問前・引継ぎ)
仕事の一覧 仕事(顧問先×対象月)を軸にしたリレー 今月の仕事のどこで止まっているかを担当者横断で見たい場面

どちらも同じデータ源を見ているので、片方で状況を変えるともう片方に即座に反映されます。"顧問先軸"と"仕事軸"を、頭の中で切り替えなくてよいのがv4の要点です。

AIに任せた場所・人が必ず見る場所

内製化とはいえ、税理士業務で「AIに任せてよい線」は明確に引きました。

工程 誰がやる
資料の到着通知・置き場所への振り分け AI(自動)
資料の中身の要約・仕訳の下ごしらえ AIが下書き
仕訳の内容・顧問先とのやり取りの中身 必ず担当者が確認
顧問先ページ・仕事の一覧の並び替え・進捗マーク AIが自動更新
期限管理・止まっている理由の抽出 AIが可視化

"読み取り・下ごしらえ・並べ替え"はAI、"内容の判断"は人、という線を最初に決めきったことが、税理士法人という慎重さが求められる業種で導入を止めずに済んだ最大の理由です。

狙っている変化

まだ運用が立ち上がったばかりの段階なので、数字での効果はこれから測ります。設計上は次の3つを狙っています。

  • 所長が担当者に「A社どうなってる?」と聞く回数が減る(顧問先ページを自分で開けば済むため)
  • 担当者が「引継ぎ資料」を書き起こす手間が減る(顧問先ページと仕事の一覧がそのまま引継ぎ書類になる)
  • "止まっている仕事"が可視化される(仕事の一覧に、止まっている理由と次の担当が並ぶ)

「時間が減った」よりも、"やり取りの回数と、頭の中に置いておく量が減る" という感覚を先に取りたい――これがこの案件の設計の軸です。定量的な削減率は、運用が回ってから測定して、追記する予定です。

同じ悩みを持つ経営者へ

税理士法人の話として書いていますが、この構造は顧問先を持つ士業全般(社労士・行政書士・司法書士)、そして**"複数の顧客を、複数の担当者で回す"すべての中小企業**に共通します。設計会社・建設会社・整備工場・製造業の営業部隊にも、同じ構造で当てはまります。

TSUNAGARU AI LABOでは、AI(Claude Code)を使った社内アプリの内製化を、名古屋・愛知の中小企業と伴走で立ち上げています。

  • 業務フローの棚卸し(一気に決めない前提の進め方)
  • モックを重ねる伴走(v1〜v4のような作り直しを前提にする)
  • "人が確認する線"を最初に引く設計

同じ悩みが1つでも当てはまる経営者の方は、サービス紹介・名古屋・愛知の生成AI導入支援・お問い合わせフォームのいずれからでもご相談ください。「1回で決めきらない開発」がどのようなものか、無料相談の中でご説明します。

関連して、AI導入の順番を社長がどう判断するかと、経理まわりの請求書づくりの"転記"を無くす最初の一歩も、この事例の意思決定の背景として参考になります。

FAQ

(この節の内容は本記事上部のFAQブロックと同一です。)


まとめ

  • 税理士法人の資料受付・仕訳下ごしらえ・進捗管理の3点が分散していた状態を、顧問先ページ+仕事の一覧の社内アプリに集約
  • モックを4回作り直す進め方(要件を紙で固めない)で、差し戻しコストを最小化
  • AIに任せる線/人が必ず見る線を最初に引いたことで、士業でも導入を止めずに済んだ
  • 同じ構造は、顧問先・複数担当・複数工程を回すすべての中小企業に当てはまる

よくあるご質問

Q. 「顧問先ページ」と「仕事の一覧」の両方を持つ理由は何ですか?

A. 見たい軸が2つあるためです。顧問先ページは「A社のいま」を1枚で把握したい場面(電話が入った・訪問前・引継ぎ)に効きます。仕事の一覧は「今月やる仕事のうち、どこで止まっているか」を担当者横断で見たい場面に効きます。片方だけだと、もう一方の視点が抜けます。導入時は「顧問先ページ」から見せ、慣れてきたところで「仕事の一覧」を上に乗せる順に進めました。

Q. 内製化といっても、税理士法人の中で誰が触るのですか?

A. 情報システム担当・所長・実務担当の複数の方が、それぞれの見え方で触ります。所長は「顧問先ごとの進み具合」、実務担当は「自分の今月の仕事」、情報システム担当は「詰まっている場所の見直し」を主に見ます。設計にあたっては、業務フローの棚卸しを重ね、画面に載せる言葉は普段の業務用語だけに揃えました。

Q. どのくらいの期間で立ち上がりましたか?

A. 初回のたたき台(モック)から約2か月で、業務用語だけで動く社内アプリのv4(顧問先ページ+仕事の一覧)が本番の環境に反映され、事務所内で触り始められる段階まで来ました。ただし、この2か月は「作った→見せた→作り直した」の往復の期間です。仕様を最初に紙で完全に決めるのではなく、見せて違和感が出た部分を毎回作り直す前提で進めています。

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