
2026年9月17日、福井県の保険代理店で、社員12名を対象に Google Workspace の研修(全体の第2回)を行いました。自動車保険を主力に、火災・傷害・生命保険なども扱う会社です。
実は、この回の資料は当日の朝に大きく作り直しています。最初に用意したスライドは49枚。それを「5つの柱」に絞り、まず何をやるか → やってみるの一本道に組み替えました。今回は、その理由と中身を整理します。
当日の構成(5つの柱)
| 柱 | 扱ったこと | ねらい |
|---|---|---|
| ① ドライブの構成 | 共有ドライブの作り方、フォルダの階層、だれが編集できるか | 書類の置き場所を、人ではなく「仕組み」で決める |
| ② チャット | お客様ごとにチャットのスペースを分ける | 連絡と資料を、お客様単位でまとめる |
| ③ メール | 添付ファイルではなく、ドライブの資料のリンクを送る | パスワード付き圧縮ファイルの往復をやめる |
| ④ フォームと集計 | Googleフォームで集めた回答をスプレッドシートで集計する | 紙やメールでの聞き取りを、表に直接貯める |
| ⑤ AI と会議メモ | Gemini の基本と安全な使い方、録音から議事録をつくる流れ | 話した内容を、あとから探せる形で残す |
研修の途中では、実際に手を動かす「ワーク」を7本はさみました。
なぜ「5つの柱」に絞ったのか
最初の資料は、伝えたいことを網羅していました。ふり返り、今日持ち帰るもの、全体の地図……。でも当日の朝に読み返して、前置きが長すぎると感じたのです。
保険代理店の現場の方が知りたいのは、「明日から何が変わるのか」です。そこで前置きを削り、「ドライブ → チャット → メール → フォーム → AI」という、毎日の仕事の流れに沿った5本だけを残しました。
結果として、研修は「説明を聞く時間」より「自分の画面で試す時間」のほうが長くなりました。ITの研修は、網羅するより、まず何をやるかを1本の線で見せるほうが伝わる。今回いちばんの学びです。
いちばん時間をかけたのは「ドライブの整理」
5つの柱のうち、いちばん丁寧に扱ったのは①ドライブです。保険代理店は、お客様ごとに見積書・契約内容の確認書・事故の記録など、書類がどんどん増えていく仕事だからです。
当日お伝えした考え方の一つが、見せる範囲がちがう書類は、最初から別の共有ドライブに分けておく、ということです。共有ドライブの中で一部のフォルダだけ見られる人を絞る設定もありますが、共有ドライブの管理者はそこから外せないなど、例外を覚えておく必要があります。今回は、あとから誰が見ても迷わない「管理のしやすさ」を優先して、ドライブそのものを分ける形をおすすめしました。
| 共有ドライブ | 入れるもの | 見られる人 |
|---|---|---|
| 営業用 | お客様ごとの書類・見積・契約関係 | 社員全員 |
| 経営・人事用 | 経営の数字・人事の書類 | 役員・管理者のみ |
「あとで権限を細かく設定すればいい」と考えると、例外が増えて、誰が何を見られるのかがわかりにくくなりがちです。**器(ドライブ)を分けてから、中身を移す。**この順番を守るのが、ドライブ整理のいちばんの近道です。

練習用データは「不備をわざと混ぜて」作る
研修で使う顧客データは、練習用に架空のものを作りました。そのとき気をつけたのが、次の3点です。
- 1行=1契約の、飾りのない表にする。結合したセルや小計の行を入れると、AI や集計機能が表の形を読み違えます
- 「満期まであと何日」は、今日の日付から計算する。日付を固定すると、研修の日がずれた瞬間に「30日以内」の表示がうそになります
- 満期日を過ぎたのに「有効」のままの契約を、わざと数件混ぜる。保険代理店で実際に起こりうる更新の反映もれを、受講者自身に見つけてもらうためです
きれいなデータで練習しても、現場では役に立ちません。「おかしいところを見つける」ところから始めるほうが、自社のデータに戻ったときに力になります。表の整え方の基本は、スプレッドシートの集計を、AIに任せるでも書いています。
会議メモは「録音 → AI → 文書」の流れで
⑤では、iPhone で録音した会話を AI に読ませて、Google ドキュメントの議事録にまとめる流れを試しました。会議やお客様との打ち合わせの内容が、あとから検索できる形で残ります。議事録づくりの始め方は、会議の議事録づくりを、AIに任せる最初の一歩にまとめています。
ただし、お客様との会話を録音するときは、相手の了解をとることが前提です。AI に読ませる内容も、会社として契約しているサービスを使い、扱いのルールを決めてから。この「安全の線引き」も、研修の中で時間をとってお伝えしました。
研修を終えて
研修のあと、受講者12名には、当日の操作をあとから見返せる持ち帰り用のページを案内しました。研修は「その日できた」で終わらせず、あとから一人で見返せる資料を残すことまでが仕事だと考えています。復習できる資料があると、研修のあとも職場で実践しやすくなるからです。
社員のみなさんと一緒に、Google Workspace や AI の使い方を整えていきたい会社には、LABOの研修をご用意しています。人材開発支援助成金を使った研修のご相談も含めて、まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
※研修の内容は実際の実施内容に基づきます(企業名は伏せています)。
よくあるご質問
Q. 保険代理店以外の業種でも、同じ研修内容は使えますか?
A. 使えます。「ドライブの整理 → お客様との資料のやり取り → チャットとメール → フォームと集計 → AIと会議メモ」という順番は業種を問いません。お客様ごとに書類が増えていく仕事なら、どの業種でもほぼそのまま当てはまります。
Q. 社員のパソコンの得意・不得意に差がある場合はどうしましたか?
A. 説明を短くして、手を動かす時間を多くとりました。研修の途中で何度も実際の操作(ワーク)をはさみ、最後は3名ずつの班で取り組む形にしています。得意な人がとなりの人を手伝える組み方にすると、全体が止まりにくくなります。
Q. 研修で使ったお客様のデータは本物ですか?
A. いいえ。研修で使った顧客データやお客様の資料は、すべて練習用に作った架空のものです。本物のお客様情報は使っていません。


