
社内の仕事の取りこぼしで、よく耳にするのがチャットで頼んで、チャットで忘れるパターンです。「あれ、お願いしておいたよね?」「え、どれでしたっけ」——流れていったメッセージの中に、依頼が埋もれていきます。
その取りこぼしを減らす更新が、Google から出ました。
この記事の要点
- 2026年10月6日の発表。「Trello for Google Workspace」が刷新され、Gmail に加えて Google Chat のメッセージからも Trello のカードを直接作れるようになった
- Trello for Gmail を使っている人は入れ直し不要。Google Workspace の全顧客と個人アカウントが対象で、発表時点ですぐ使える(Trello のアカウントは必要)
- 肝はツールより**「頼まれた側が、その場で一覧に載せる」**という発想。Trello を使っていない会社でも、Google Chat の「ToDo リストに追加」で同じ習慣を始められる
何が変わったか
Trello は、仕事を「カード」にして、「未着手」「対応中」「完了」のような列に並べて管理するタスク管理ツールです。これまでも「Trello for Gmail」というアプリで、メールからカードを作ることはできました。
今回、そのアプリが「Trello for Google Workspace」として刷新され、Google Chat のメッセージからもカードを作れるようになりました。一次ソースの内容を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| できること | メールと Google Chat のメッセージから、画面を移らずに Trello のカードを作る |
| これまでの利用者 | Trello for Gmail の利用者は、入れ直し・再認証なしでそのまま使える |
| Chat で使い始める方法 | スペース(グループでやり取りする場所)やダイレクトメッセージの会話にアプリを追加し、案内に沿ってサインイン |
| 対象 | Google Workspace の全顧客、個人の Google アカウント |
| 提供時期 | 発表時点ですぐ利用可能 |
| 必要なもの | Trello のアカウント |
| 管理者ができること | Google Workspace Marketplace から、管理コンソール経由で利用者に代わって一括インストール |
なぜ経営者にとって意味があるか
チャットは、頼むのがとても楽な道具です。そのぶん、頼まれたことが「会話」のまま流れていく弱点があります。依頼がいくつもの雑談に挟まれると、誰が・いつまでに・何をやるのかが見えなくなります。
今回の更新の本当の価値は、Trello という特定のツールよりも、**「頼まれた側が、その場でメッセージから仕事の一覧に載せる」**という動き方にあると考えています。メッセージを読んだその場で一覧へ移せれば、「あとで書き写そう」と思っているうちに忘れる、という一番もったいない抜けを減らせます。
| チャットで頼むだけ(Before) | その場で一覧に載せる(After) | |
|---|---|---|
| 依頼の置き場所 | 会話の流れの中に埋もれる | タスクの一覧に1件ずつ残る |
| 進み具合の確認 | 「あれどうなった?」と聞くしかない | 一覧を更新していれば、見て確認しやすい |
| 書き写しの手間 | 別のメモや表に手で転記する | メッセージから直接作る |
| 抜けやすい場面 | 忙しい日・外出中・担当者の休み | 一覧に載っていれば、誰かが気づける |

会議で決まった宿題の取りこぼしについては「Google Meet の会議要約が Google Chat に自動で届くようになった」で、電話の伝言の取りこぼしについては「電話の伝言メモを「取りこぼさない」仕組みにする」で書きました。どれも根っこは同じで、依頼が生まれた場所から、残る場所へ、すぐ移すことが取りこぼしを減らす近道です。
Trello を使う会社・使わない会社の選択肢
Trello を使っていないからといって、新しくツールを入れる必要はありません。会社の状況に合わせて選べます。
| 会社の状況 | 選択肢 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| すでに Trello を使っている | Trello for Google Workspace を Chat に追加 | チームの仕事を列で見える化し、Chat の依頼をそのままカードに |
| Trello は使っていない/まず小さく試したい | Google Chat の「ToDo リストに追加」 | 頼まれた本人が、自分の Google ToDo リストに入れて忘れない |
| 依頼の受け方そのものを型にしたい | フォームや自動化の仕組みを組む | 依頼の書き方を揃え、担当者への通知まで自動にする |
2つ目の「ToDo リストに追加」は、2022年5月から Google Chat にある機能です。メッセージから自分用のタスクを作り、期限やメモを付けられます。期限を入れたタスクは Google カレンダーにも出ます(参考: Add personal tasks from Google Chat — Google Workspace Updates(2022-05))。ただし、これは頼まれた本人の個人用の一覧なので、チーム全体の進み具合を見たい場合は、Trello のような共有の一覧のほうが向いています。
3つ目のように仕組みごと整えたい場合は、「Google Workspace Studio(旧 Flows)で中小企業のノーコード自動化」で紹介した、プログラムを書かずに仕組みを作る考え方が使えます。
中小企業の最初の一歩(3つ)
- 「頼まれたら、その場で一覧に載せる」をルールにする:ツールより先に、社内で一言決めておきます。Trello を使っている会社ならカード、使っていない会社なら ToDo リスト、で構いません
- 頼む側は「期限」と「完了の形」を一言添える:「金曜までに」「見積の下書きまで」と書いてあれば、一覧に載せたときにそのまま使えます
- 週に1回、一覧を見ながら5分だけ確認する:朝礼や週次の打ち合わせで、残っているものを一緒に眺めます。チャットをさかのぼって探す時間を減らせます
こうした「チャットの依頼を一覧に落とす」ような日々の小さな仕組みを、社員さん自身が組み立てられるようになりたい場合は、当社の研修・講座もご覧ください。
まとめ
- 2026年10月6日の発表で、Google Chat のメッセージから Trello のカードを直接作れるようになった(Trello for Gmail 利用者は入れ直し不要・全 Workspace 顧客と個人アカウントが対象)
- 価値はツールそのものより、**「頼まれた側がその場で一覧に載せる」**という動き方にある
- Trello を使っていない会社は、Google Chat の「ToDo リストに追加」から小さく始められる
社内の小さな"取りこぼし"を1つずつ仕組みに変えていく進め方は、名古屋・愛知の中小企業のための「業務自動化」完全ガイドにまとめています。「うちのチャットの依頼も整理したい」という方は、無料相談からお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. すでに Trello for Gmail を使っています。入れ直しは必要ですか?
A. 不要です。一次ソース(Google Workspace Updates 2026-10-06)では、Trello for Gmail を使っている方は再インストールも再認証もせずにそのまま使い続けられるとされています。Google Chat で使うには、チャットのスペース(グループでやり取りする場所)やダイレクトメッセージの会話に Trello for Google Workspace を追加し、表示される案内に沿ってサインインします。
Q. 誰が使えますか?費用はかかりますか?
A. 一次ソースでは、Google Workspace の全顧客と個人の Google アカウントが対象で、発表時点ですぐに使える状態とされています。利用には Trello のアカウントが必要です。Trello 側の料金プランについては一次ソースに記載がないため、Trello 公式の情報でご確認ください。管理者は Google Workspace Marketplace から、管理コンソール経由で利用者に代わってまとめてインストールできます。
Q. Trello を使っていない会社でも、同じようなことはできますか?
A. できます。Google Chat には以前から、メッセージを自分の「Google ToDo リスト」にタスクとして追加する機能があります(2022年5月に発表)。期限やメモを付けられ、期限を入れたタスクは Google カレンダーにも表示されます。まずは「頼まれたら、その場で一覧に載せる」習慣をこの機能で試すのが手軽です。


