TSUNAGARU AI LABO
ノウハウ約8分

シフト表づくりを、AIに「下書き」させる — 希望休の集計と組み合わせは任せて、最後に決めるのは店長

毎月のシフト表づくりに、店長や事務の方が何時間もかけていませんか。希望休を集めて、必要人数と照らして、偏りがないか見直す——この作業のうち「集めて、並べて、たたき台を作る」までを AI に任せ、最後の判断だけを人がする進め方を、Googleフォームとスプレッドシート、Gemini を使って手順にまとめました。

中屋 茂美の顔写真

中屋 茂美

TSUNAGARU AI LABO 主宰/株式会社TRAVEL CREATE 代表

店の事務机に置かれた手書きのシフト表と鉛筆、付箋。手元だけを写したクローズアップ写真

毎月のシフト表づくりに、何時間かかっていますか。

希望休をLINEや紙で集めて、カレンダーに書き写して、曜日ごとの必要人数と照らして、「この人ばかり土日になっていないか」を見直して、また直して——。飲食店、小売店、介護の事業所、工場の交代勤務。業種は違っても、シフト表は店長や事務の方の時間を毎月確実に削っていく仕事です。

この仕事は、AI に「下書き」を任せやすい代表格です。ただし、任せるのは下書きまで。最後に決めるのは人です。今回はその分け方と、手元の Google Workspace で始める手順をまとめます。

シフト表づくりを分解すると、AIに任せられる部分が見えてくる

まず、シフト表づくりの中身を分けてみます。

作業 中身 任せる相手
① 希望を集める 希望休・入れる時間帯を全員から集める フォーム(仕組み)
② 一覧にまとめる 集まった希望を、日付×人の表に並べる スプレッドシート(仕組み)
③ たたき台を組む 必要人数・ルールを満たす組み合わせを作る AI
④ 偏りを点検する 土日・遅番・連勤が特定の人に寄っていないか AI(指摘)+人(判断)
⑤ 決めて、伝える 事情を踏まえて手直しし、公開する 人

いちばん時間を食っているのは、たいてい②と③です。ここは「ルールに沿って並べる」作業なので、AI や仕組みが得意な領域です。一方で⑤の「Aさんは家族の事情で今月は早番を多めに」「新人のBさんはベテランと組ませたい」といった判断は、言葉になっていない情報を含みます。ここは人に残します。

どの仕事を AI に渡すかの見分け方は、社長が「AIに任せる仕事」を見分ける、3つのモノサシでも整理しています。

手順:Googleフォーム+スプレッドシート+Gemini で始める

ステップ1:希望の集め方を1つにそろえる

LINE、紙、口頭とバラバラに集まる希望を、Googleフォーム1本にそろえます。項目は最小限で十分です。

  • 名前(選択式にしておくと表記ゆれが出ません)
  • 休みたい日(対象月の日付をチェックボックスで複数選択)
  • 入れる時間帯(早番/遅番/どちらでも、など)
  • ひとこと(自由記述)

フォームの回答先をスプレッドシートに設定しておけば、回答はそこに自動でたまっていきます。たまった回答はそのままだと「1人1行」の形なので、日付×人の表への並べ替えは次のステップで Gemini に頼みます。「締切までにフォームで出す」を決まりにするだけで、①②の手間は大きく減ります。

ステップ2:「必要人数」と「うちのルール」を書き出す

AI にたたき台を作らせるには、判断の材料を言葉にして渡す必要があります。スプレッドシートに別のシートを作り、次のように書いておきます。

  • 曜日・時間帯ごとの必要人数(例:平日の遅番は3人、土日の遅番は4人、など自社の実情で)
  • 社内で決めているルール(連続勤務の上限、1人あたりの週の勤務日数の目安、鍵を閉められる人を必ず1人入れる、など)
  • できれば避けたいこと(同じ人に土日が続かないように、など)

ここで書き出したルールは、来月以降も使い回せます。会社の判断基準を AI に引き継ぐ考え方は、AIに「うちならこう決める」を覚えさせる3ステップで詳しく書いています。

希望の回答と必要人数の表から、AIがシフトのたたき台を組み、店長が手直しして公開するまでの流れを、机の上の道具を俯瞰で並べたイラスト

ステップ3:Gemini にたたき台を作らせる

スプレッドシートの Gemini(または Gemini アプリにシートを読み込ませる形)で、次のように頼みます。

あなたは店舗のシフト作成担当です。「希望」シートの回答と、「ルール」シートの必要人数・ルールをもとに、来月のシフト表のたたき台を、日付×スタッフの表で作ってください。必要人数を満たせない日は、無理に埋めずに「不足」と書いて一覧にしてください。最後に、土日・遅番・連続勤務が特定の人に偏っていないかを、人ごとの回数の表で示してください。

ポイントは2つです。埋められない日は「不足」として正直に出させること。そして偏りの点検まで一緒に出させることです。AI が無理やり全部を埋めようとすると、誰かに負担が寄ったたたき台ができてしまいます。

ステップ4:店長が「事情」を足して決める

たたき台と偏りの表を見ながら、店長が手直しします。まず、必要人数・希望休・連続勤務の上限など、渡したルールが本当に守られているかを確かめます。そのうえで、AI には渡していない事情を足します。

  • 最近、体調や家庭の事情で無理をさせたくない人はいないか
  • 新人とベテランの組み合わせは大丈夫か
  • 「不足」の日を、誰にお願いするか(ここは直接声をかけたほうがうまくいきます)

AI の答えを確認するときの目の付けどころは、AIに書かせた文章を、社長が3分でチェックする型の考え方がそのまま使えます。

導入前と導入後で変わること

導入前 導入後
希望の集め方 LINE・紙・口頭がバラバラ フォーム1本にそろう
一覧づくり 手で書き写す 回答が自動でシートに並ぶ
たたき台 ゼロから考える AI が作り、不足日も一覧で出る
偏りの点検 目で数える 人ごとの回数が表で出る
店長の時間の使い方 並べる・数える作業が中心 事情を考えて決めることに集中

時間がどれだけ減るかは、人数やルールの複雑さで変わります。最初の1〜2か月はこれまでの作り方と並べて、答え合わせをしながら使ってみてください。「この部分は任せても大丈夫だ」と確かめられたところから、任せる範囲を広げていくのが確実です。

うまくいかないときは

  • たたき台が毎回ちがう:ルールの書き方があいまいなことが多いです。「なるべく」「できれば」を減らし、数で書けるものは数で書きます
  • 人数が多くて表が崩れる:1か月を前半・後半に分けて頼むと安定します。その際は前半の最後の数日の勤務状況を後半に引き継いで伝え(月をまたぐ連勤を防ぐため)、最後に月全体の偏りをもう一度点検させます
  • スタッフがフォームを出してくれない:締切の2日前に、チャットで自動でお知らせする仕組みを足すと出そろいやすくなります

まとめ:AIに渡すのは「並べる」、人が持つのは「決める」

シフト表は、従業員の暮らしに直接かかわる表です。だからこそ、「並べる・数える」は AI に任せて、空いた時間で一人ひとりの事情を考える。これが、AI を入れたあとの店長の仕事の姿だと考えています。

業務のどこから自動化するかの全体像は、柱記事名古屋・愛知の中小企業のための「業務自動化」完全ガイドにまとめています。自社のシフトの組み方に合わせた仕組みづくりは、LABOの支援内容をご覧いただくか、無料相談でお気軽にお声がけください。


**来月のシフト表、今月は何時間かけて作りましたか。**その時間の半分を、スタッフと話す時間に回せたら、店はきっと変わります。

よくあるご質問

Q. AIが作ったシフト表を、そのまま公開してもいいですか?

A. おすすめしません。AI は渡したルールの範囲では組み合わせを作れますが、「この2人は同じ時間に入れたほうがいい」「この人は最近疲れている」といった、言葉になっていない事情までは分かりません。たたき台として受け取り、店長が確認・修正してから公開する運用にしてください。

Q. 労働時間のルールも AI に守らせられますか?

A. 「週の上限」「連続勤務は何日まで」など、自社で決めているルールを文章で渡せば、それに沿って組もうとします。ただし AI が法令や就業規則を正しく守っているかの最終確認は人の役目です。気になる点は社労士など専門家に確認してください。

Q. 専用のシフト管理システムとどちらがいいですか?

A. スタッフが数十人を超える、複数店舗を本部で一括管理したい、勤怠や給与と自動でつなげたい、という場合は専用システムが向いています。人数やルールがまだ人の目で確かめられる範囲で、まずは手間を減らしたいなら、すでにある Googleフォームとスプレッドシートで始めて、足りなくなってから検討する順番で十分です。

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