
「口で説明しても、なかなか伝わらない」——中小企業の社内研修や、お客様への提案の場でよく直面する壁です。
この壁を1段下げる更新が、Google Workspace Updates から2026年8月24日に発表されました。Gemini アプリに「インタラクティブな可視化・シミュレーション生成」機能が実装され、文字回答の代わりに 触って動かせるモデルを直接チャット内に出せるようになります。
この記事の要点
- Gemini アプリ内で、3Dモデル・物理シミュレーション・動くグラフ・条件変更で結果が変わる試算などを、テキスト指示だけで生成できるようになった
- 全 Workspace エディション+Workspace Individual 対象・Rapid/Scheduled 両方で配信開始・管理者側で既定ON
- 一次ソースは Generate interactive simulations and models in the Gemini app(2026-08-24)
何が変わったか
これまで、Gemini からの回答は基本的に文字と静止画で返ってきていました。「原価構造を説明して」「拠点間の動線を教えて」——こうした問いにはテキストで返ってきて、動きや条件変化を表現したい場合は別のツール(プレゼンソフト・専用のシミュレーションソフト・外注の動く資料)が必要でした。
今回の更新で、Gemini アプリの応答が**「触って動かせるモデル」**として返ってくる場面が増えます。
| 種類 | 例(公式で紹介されているもの) |
|---|---|
| 3D構造 | DNAの立体構造など、静止画では回転できない対象 |
| 物理シミュレーション | 振り子・力の伝わり方など、時間とともに動く対象 |
| 動的な表・試算 | キャッシュのバーンレートなど、条件を変えると結果が変わる表 |
「文字と静止画では表現しきれなかったもの」を、Gemini との会話の中で触れる形にまで持ち込める——ここが今回の変化点です。
中小企業の経営者にとっての意味
派手なAI機能に見えるかもしれませんが、実は中小企業の日常業務に効く場面が多い更新です。
1. 社内研修の"伝わらなさ"を減らせる
- 機械の仕組みを新人に説明するとき
- 組織変更後の指示系統を全員に共有するとき
- 経理・原価の考え方を営業に理解してもらうとき
これらは「文字と口頭で説明しても、翌週にはうろ覚え」になる場面です。触って動かせる資料を1つ作って社内で共有できるようになれば、教える側の時間も、教わる側の理解も、両方が少し楽になります。
2. お客様提案での"見せる力"が変わる
- プランA/B/Cで、月々の負担がどう変わるか
- 導入後1年で、この数字がこう推移する見込み
- 拠点を1つ増やしたとき、人と物の動きがどう変わるか
いままで「見積書と口頭説明で伝えていた」ものが、その場で条件を変えて動かせる資料として渡せるようになります。特にお客様の年齢層が幅広い業種——保険・不動産・自動車・介護・観光——では、"動く見せ方"が判断の後押しになる場面が多くあります。
3. 外注していた"動く資料"の内製化
これまで、動く資料は「専門の動画制作会社」「シミュレーション専門のソフト」に頼るのが普通でした。1本あたり数十万円かかることも珍しくありません。
この機能が定着すれば、"社内で試作→外注で仕上げ"の順番が現実的になります。全部を外注する必要はなく、外注する前に社内でたたきを作り、必要な部分だけ専門家に頼む——という進め方に切り替えていける、というのが実務的な意味です。

Before → After:社内での「説明」がどう変わるか
| 場面 | この更新の前 | この更新の後 |
|---|---|---|
| 新人研修で機械の仕組みを教える | ホワイトボード・現物・動画(外注) | Gemini に指示して触れる3Dモデルを作らせて共有 |
| 組織変更後の指示系統を共有 | 組織図の静止画+口頭説明 | 部署・役割ごとに触って追える動的モデル |
| プランA/B/C の試算をお客様に提示 | 紙の見積書 | 条件変更で結果が変わる触れる試算表 |
| 拠点追加のシミュレーション | 会議で口頭説明・付箋で議論 | 動く動線モデルで、全員が同じ絵を見て話す |
| 外注していた動く資料 | 1本数十万円〜・納期数週間 | 社内で試作→必要な部分だけ外注に切り替え |
使い道:まず「口で説明していたもの」の棚おろしから
いきなり全社で使う機能ではありません。まずは、「これまで口で何回も説明していたもの」を1〜2件書き出すところから始めるのが現実的です。
- 新人・中途入社への説明で、毎回時間がかかるもの
- お客様に説明するのに、いつも同じ言葉を繰り返しているもの
- 経営会議で、話者ごとに"見えている絵"がずれるもの
- 月次数字の説明で、担当者以外がついてこられないもの
このどれか1つを Gemini に「触れる資料」として作らせてみる——それがこの機能の最初の使い道です。作った資料は、あとから修正・改良していけばよく、最初から完璧を目指す必要はありません。この考え方は「完璧を目指さない」SNSで語られる、AI活用がうまくいく人の共通点と同じ土台の上にあります。
社内での使い方が定着してから、お客様提案での使用へ広げていくのが順当な進め方です。いきなり社外に出そうとすると、出力の精度・正確さの検証が追いつかず、失敗しやすくなります。
前提として整理しておきたいこと
- 配信は順次・環境依存:Rapid Release から順に配信され、環境によっては最大15日以上かかる可能性があります。「発表された翌日から使える」訳ではありません
- 管理者側で既定ON:ただし Generative AI 設定でOFFにも切り替えられるため、社内で試したいのに反応がない場合は管理コンソール側の確認が必要です
- 精度検証は必須:Gemini が生成する試算・図解は、必ず社内の実データや専門家の目でチェックしてから使ってください。特にお客様提案で使う数字は、Gemini の出力そのまま渡すのではなく、責任者が一度検算する運用が前提です
- 社外配布の可否は継続確認:エクスポート形式や社外への配布可否は運用面の詳細に依存するため、リリースの継続アップデートで最新情報を確認してください
触れる資料をどこで使うか——3つの入り口
社内での棚おろしが終わったら、以下の3つのどれかから始めるのが効きます。
入り口①:新人・中途入社の初日研修
新人が入るたびに同じ内容を説明している——中小企業ではとても普通の光景です。この繰り返しの一部を、**触れる資料 + 動画(Google Slides から Vids で作成)**の組み合わせに置き換えると、教える側の時間が段階的に浮きます。動画側は、別記事の会議の議事録づくりを、AIに任せる最初の一歩と同じ発想で「一度作ったら繰り返し使える資産」に変わります。
入り口②:経営会議・数字の可視化
「6事業の月次数字を1画面にまとめる」考え方は事業別月次1画面統合の話にまとめていますが、その中でも「なぜこの数字がこう動いているのか」を役員間で共有する場面は、動く資料が特に効きます。同じ数字を見ていても、頭の中の絵が全員違うことは意外に多くあります。
入り口③:お客様提案での試算
保険・住宅・自動車・介護・観光など、条件変更でお客様の負担が変わる商品を扱っている業種で、いちばん効きやすい入り口です。ただし、社外に見せる数字は必ず責任者が検算する運用が前提です。
名古屋・愛知の会社が動くなら
「うちも動く資料に切り替えたい」「触れる資料を使いこなす社員を育てたい」——このニーズに、TSUNAGARU AI LABO は伴走しています。名古屋の生成AI導入支援 では、Gemini の新機能を**「社内のどの場面から使い始めるか」の設計**まで含めて支援しています。
支援の内容はサービス紹介、料金の目安は料金ページからご覧いただけます。導入判断の全体像は中小企業がAI導入支援会社を選ぶ7つの視点にまとめました。無料相談フォームからお気軽にどうぞ。
よくあるご質問
Q. この機能は追加料金がかかりますか?
A. 公式発表によれば、Gemini アプリ(全 Workspace エディションおよび Workspace Individual 対象)の標準機能として提供され、Rapid Release と Scheduled Release の両方に配信されます。追加ライセンスは前提とされていません。管理者の Generative AI 設定でON/OFFを切り替えられ、既定はONです。
Q. どんな場面に効きますか?
A. 「文章では伝わりにくいもの」に効きます。たとえば、組織図の変更後の指示系統、原価と粗利の内訳、機械の内部構造、プランA/B/Cで数字がどう変わるかの試算、複数拠点の動線など。会議のたびに口頭で説明していたものを、"触って動かせる資料"として渡せるようになります。
Q. 触れる資料は誰に見せられますか?出力形式は?
A. 現時点の一次ソースは「Gemini アプリ内での応答として、インタラクティブなモデル・シミュレーションを生成する」ことを述べています。エクスポート形式や社外配布の可否など運用面の詳細は、リリースの継続アップデートで確認するのが安全です。まず社内共有・自席での検討ツールとして使うのが順当な入り方です。


