
2026年9月2日、Google Workspaceの「Custom instructions(自分専用の指示)」が、Gmail・Sheets・Slides・Drive・Chatのサイドパネルにも広がりました。1回設定しておけば、どのアプリでGeminiを呼び出しても、同じ人格で返してくるようになります。
これまでのGeminiはGoogleドキュメントの中でだけカスタム指示が効いていました。今回の更新で、日常業務で触るアプリのほぼ全てに、同じ設定が波及します。地味に見えて、経営者としては見逃せない変化です。
この記事の要点
- Geminiの「自分専用の指示(Custom instructions)」が、Drive・Chat・Gmail・Sheets・Slidesにも展開(2026-09-02発表・段階的展開)
- 1回登録しておけば、どのアプリでAIを呼んでも同じ言い回し・同じ敬語・同じ社名表記で返してくる
- 中小企業にとっての意味は「AIの返事のバラつき」問題への具体的な回答。"文章の巧拙"の属人化を、設定に落とし込める段階に入った
何が変わったか
これまでの状態と、これからの状態を並べてみます。
| いつ | どのアプリで自分専用の指示が効くか |
|---|---|
| これまで(〜2026年8月) | Googleドキュメント内のヘルプミー機能 |
| いまから(2026年9月〜) | Drive の Ask Gemini/Chat の Ask Gemini/Gmail・Sheets・Slidesのサイドパネル |
つまり、社員がAIを呼ぶほとんどの入り口で、同じ設定が効くようになった、ということです。
自分専用の指示の例
Geminiの設定画面(設定 → パーソナライズ → Custom instructions)に、3〜5行の指示を書きます。難しい書き方はいりません。
- 「返信メールは敬語で書いてください。カジュアルな表現は避けてください」
- 「箇条書きは3つまで。それ以上は文章にまとめてください」
- 「社名は『株式会社◯◯』の正式名称で表記してください」
- 「文章の締めは『何卒よろしくお願いいたします』で統一してください」
これを1回入れておくと、Gmailで返信の下書きを頼んでも、Slidesで説明文を作らせても、Sheetsで分析要約を出させても、同じルールで返ってきます。
なぜ、これが中小企業の経営者に効くのか
AIを社内に入れ始めた会社で、よく聞かれる声があります。
「AIの返事が毎回バラバラで、結局自分で直している」
これまではこの問題への正面からの対処が難しく、社員一人ひとりが上手にAIに指示を出す(プロンプトを工夫する)技術に頼るしかありませんでした。ですがこの方向は、AIが上手い社員と苦手な社員の差をそのまま出力の差にしてしまいます。
Custom instructionsが対応アプリに広がったことで、この構造が変わり始めます。
属人化を、設定に移せるようになる
会社としての「文章のクセ」——敬語の使い方、社名の表記、断り方のトーン、締めの一文——を、AIの設定側に持たせられるようになりました。
これは、いままで暗黙のうちに社長や古参社員の中にあった「うちの言葉」を、明文化して全社員のAIに配れる、ということです。前にAIを「一番使う社員」に投資を寄せるで書いた「重く使う人」に集中投資する話とは、また別の方向の話——"薄く使う人"のバラつきを設定で抑える方向の話です。

いま、経営者がやっておくべきこと
いくつもいっぺんにやる必要はありません。順番があります。
1. 「自社の書き方ルール」を短く言葉にする
まず、代表と、AIをよく触っている社員1〜2名で、「うちの会社の文章のルール」を3〜5行で書き出します。ゼロから作らなくても、いつも社員のドラフトを直しているところ——敬語、社名、締めの一文、箇条書きの数——を思い出せば出てきます。
これは前にAIを「教える」のは誰か — 中小企業で"推進担当"を決めるときの3つの視点で書いた「推進担当」の初期業務にちょうど合う仕事です。
2. まずは代表と推進担当だけで試す
書いたルールを、代表と推進担当のGemini設定に入れて、1〜2週間、実際にGmail・Sheets・Slidesで使ってみます。この段階で「これは要らなかった」「これも足したい」が必ず出てきます。
3. 全社員に配る
社内で試した後の内容を、朝礼または勉強会で全社員のGeminiに入れてもらいます。この時、誰も見ない社内マニュアルを、AIで「検索できる形」に書き直すと同じ考え方で、Custom instructionsの内容をひとつのドキュメントに残しておくと、後で入社した人にも同じ設定を配れます。
会社にとって、地味だが大事な変化
派手さはありません。ですが経営者として見ると、これはAIの社内定着で毎回ぶつかっていた「バラつき問題」への具体的な回答が、Google側から出た、という話です。
AIの導入は、まず「触る人を増やす」フェーズがあり、次に「触る人の質を揃える」フェーズが来ます。Custom instructionsの全アプリ展開は、この2つ目のフェーズを助ける機能です。
一次ソース
- Google Workspace Updates:Custom instructions for Gemini in Workspace now available in more apps(2026-09-02)
まず、ここから
TSUNAGARU AI LABOでは、こうしたGoogle WorkspaceのAI機能を「うちの会社ではどう使うか」に翻訳するところから伴走しています。Custom instructionsの初期設定・社内ルール化を含めた導入支援もご相談ください。まずは無料相談か、名古屋・愛知の中小企業のための「業務自動化」完全ガイドからご覧ください。
よくあるご質問
Q. これは何ができるようになった機能ですか?
A. 一言でいうと「自分専用のAIの話し方」をGoogle側に1回登録しておく機能です。以前はGoogleドキュメントの中でしか効かなかった設定が、Drive・Chat・Gmail・Sheets・Slidesのサイドパネル(Ask Gemini)にも広がりました。「敬語で書いて」「箇条書きは3つまで」「社名の表記はこの形で」といった指示を1度書いておけば、どのアプリでGeminiを呼んでも同じ言い回しで返してきます。
Q. 追加料金や、管理者の設定は必要ですか?
A. 一次ソースによれば、Ask Geminiが使える全てのGoogle Workspace顧客が対象で、管理者のコントロールはありません。2026年9月2日から段階的に配信されており、環境によって最大15日ほどかかります。
Q. 中小企業として、まず何をするのがよいですか?
A. 全社員に一度に配るより、まず代表と、AIをよく触っている社員1〜2名で「自社の書き方ルール」を短くまとめ、その内容をCustom instructionsに入れて試すことをおすすめします。「敬語で」「社名は正式名称で」「返信の締めはこの一文で」など、いつも直しているところを3〜5行で書けば十分です。


