
「AIを導入したい。でも、どこに頼めばいいのか分からない」
ここ1〜2年、名古屋や愛知の経営者の方から、この相談をいただくことが増えました。検索すれば会社はいくらでも出てきます。けれど、並べてみても違いが分からない。金額も、書いてあることも、似て見える。
理由ははっきりしています。比べる前に、自社の側で決めておくことが決まっていないからです。ものさしが無いまま並べても、選べません。
この記事は、どこに頼む場合でも使える「7つの視点」を整理したものです。私たち(TSUNAGARU AI LABO)に頼んでいただくための基準ではありません。相見積もりの途中で読んでいただいても、そのまま使える形にしてあります。
この記事の要点
- 会社を比べる前に、自社で決めることが3つある(目的・進め方・範囲)
- 料金は金額の大小ではなく、含まれるものと終わり方で見る
- 助成金は「使えるなら使う」。依頼先を決める一番目の条件にはしない
視点1:何を減らしたいのかを、先に一文で言えるか
最初の視点は、相手ではなく自社に向けます。
「AIを導入したい」は目的ではありません。目的は、その先にあります。「毎月の請求書づくりに消えている20時間を減らしたい」——このくらい具体的な一文が出てくると、話は一気に進みます。
逆に、ここが曖昧なまま提案を受けると、どの会社の提案も立派に見えてしまいます。判断できないのは、相手のせいではありません。
一文が出てこない場合は、次の3つに当てはまる作業を1つ選ぶところから始めてください。
- 毎日または毎週、必ず発生する
- 手順が決まっている
- やっていて面倒だと感じる
→ 選び方をもう少し詳しく:『「AIをどこから入れるか」を、3つのモノサシで並べ替える』
視点2:内製化か、お任せか。どちらを望むのかを決める
これは良し悪しの話ではなく、好みと体制の話です。先に決めておくと、依頼先選びが一気に楽になります。
| 進め方 | 向いている会社 | 良いところ | 気をつけるところ |
|---|---|---|---|
| お任せ型(作ってもらう) | 社内に手が空く人がいない/急いでいる | 立ち上がりが速い。品質が安定しやすい | 直したいたびに依頼が要る。費用が続きやすい |
| 内製化型(一緒に作る) | 自社の業務が特殊/長く使いたい | 社内で直せる。二つ目・三つ目に横展開しやすい | 社内に窓口役が1人必要。立ち上がりはゆっくり |
| 研修型(学ぶだけ) | まず全体の底上げをしたい | 費用が読みやすい。全社に届く | 学んだあと、実務に落とす人が要る |
多くの中小企業は、研修型で足並みを揃えつつ、内製化型で1業務を実際に作る、という組み合わせに落ち着きます。どれか1つを選ばなければいけないものではありません。
大事なのは、自社がどれを望んでいるかを相手に伝えることです。伝えないまま進むと、望んでいない形の提案が返ってきます。

視点3:料金は「含まれるもの」と「終わり方」で見る
金額の大小だけでは比べられません。見るべきは次の3点です。
- 月額に何が含まれるのか(訪問の回数、質問できる範囲、システムの改修は入るのか)
- いつまで続くのか(最低契約期間があるか、見直しのタイミングはあるか)
- やめたいとき、どうなるのか(作ったものは残るのか、アカウントは誰の名義か)
とくに3つ目が曖昧なまま始まる契約は、あとで気まずくなりがちです。「もし合わなかったら、どうやって終われますか」と聞いてみてください。答えづらそうにされたら、その理由まで聞いてよいと思います。
参考までに、私たちの場合は目安を公開しています(ロードマップ設計30万円〜、AI内製化伴走 月30万円〜)。→ 料金ページ
視点4:助成金は「使えるなら使う」。順番を逆にしない
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、社員教育を含むAI導入で活用できる場合があります。ただし、この制度は2027年3月末までの時限措置と公表されています。
ここで順番を間違えないでください。
- ○ 自社のどの業務に効くかを決める → 条件が合う制度があれば使う
- × 使える制度に合わせて、導入内容を決める
後者で進めると、制度が終わったときに社内に何も残りません。制度は味方ですが、目的ではない。支援会社を見るときも、助成金の話から始まる提案かどうかは、ひとつの手がかりになります。
視点5:地域と訪問——「どの場面は現場を見る必要があるか」
オンラインだけで十分進む業務は、思っているより多いです。集計、転記、メールの下書き、書類づくり——パソコンの中で完結する作業は、画面を共有すれば足ります。
一方で、工場・店舗・現場のように、実際に見ないと業務の形が分からないものもあります。
聞いてみるとよいのは、「うちの場合、どの場面は訪問が必要ですか?」という質問です。具体的に答えられる相手なら、進行のイメージがつかみやすくなります。「全部オンラインでできます」も「毎週うかがいます」も、それ自体は答えになっていません。
名古屋・愛知での進め方については、名古屋の生成AI導入支援のページに、訪問とオンラインの使い分けをまとめています。
視点6:実績は「社数」より「その後」で確かめる
「導入実績◯◯社」という数字は、比べる材料としては弱いものです。1回の研修も、1年の伴走も、同じ1社と数えられます。
代わりに、こう聞いてみてください。
- 何を作ったのか(どの業務の、どの部分か)
- いまも動いているのか(作った後、現場で使われ続けているか)
- その会社は、自分たちで直せるようになったのか
3つ目が特に効きます。作った時点で終わっている取り組みと、その後も育っている取り組みは、話を聞けば必ず違いが出ます。守秘義務で会社名を出せないのは普通のことなので、社名が出るかどうかではなく、中身を具体的に語れるかで見てください。
→ 実際の取り組み方の例:『名古屋・愛知の中小企業のための「業務自動化」完全ガイド』
視点7:契約したあと、誰が来るのか
提案の場に来た人と、実際に毎週来る人が違うことは珍しくありません。それ自体は悪いことではありませんが、知らないまま始めると、話が最初からになります。
確認しておくとよいのは3つです。
- 実際に担当するのは誰か(提案者と同じか、違うか)
- 社内に何人の窓口役が必要か(1人で足りるのか、部署ごとに要るのか)
- どうなったら「終わり」なのか(卒業の形が示されているか)
私たちは3つ目を「自走できるようになって、私たちから卒業していただくこと」と置いています。ここは会社によって考え方が違うところなので、相手の答えを聞いて、自社の望みと合うかを見るのがいちばん確実です。
7つの視点チェックリスト
商談の前に、この表を印刷して持っていってください。相手に見せてしまっても構いません。
| # | 視点 | 相手に聞くこと | 自社で決めておくこと |
|---|---|---|---|
| 1 | 目的 | 「この業務の何が、どう変わりますか」 | 減らしたい作業を一文で |
| 2 | 進め方 | 「作ってもらう形と、一緒に作る形、どちらが得意ですか」 | お任せか内製化か |
| 3 | 料金 | 「月額に何が含まれ、やめたいときどうなりますか」 | 出せる予算の上限 |
| 4 | 助成金 | 「制度が無くても、この提案は成立しますか」 | 制度ありきにしない |
| 5 | 地域・訪問 | 「うちの場合、どの場面は訪問が必要ですか」 | 現場を見せる必要の有無 |
| 6 | 実績 | 「作ったものは、いまも動いていますか」 | 社数では判断しない |
| 7 | 体制 | 「実際に担当するのは誰で、卒業の形はありますか」 | 社内の窓口役を1人決める |
おわりに——選ぶ側が持つべきもの
7つ挙げましたが、突き詰めると視点1と視点2です。「何を減らしたいか」と「どう進めたいか」。この2つが決まっていれば、あとの5つは会話の中で自然に確かめられます。
そして、この2つは支援会社が決めることではありません。社内でしか決められないことです。だからこそ、比べる前に決めておく価値があります。
もし一文が出てこない段階でも、それはそれで構いません。「いま社内でいちばん面倒な作業」を1つ持って、話しに来ていただければ、一緒に言葉にするところから始められます。
→ 名古屋・愛知での支援内容と料金の目安は名古屋の生成AI導入支援へ。サービス全体の階層はサービスページにまとめています。
よくあるご質問
Q. 相見積もりは取ったほうがいいですか?
A. 取って構いません。ただし、金額だけを並べても比べられないことが多いです。「どの業務を、どこまで、誰がやるか」の範囲が会社ごとに違うためです。先に自社で範囲を決め、同じ条件で見積もりを出してもらうと、はじめて金額が比較できる数字になります。
Q. 大手と地元、どちらに頼むのがよいですか?
A. 規模で決まるものではありません。決め手になるのは「現場を見て話せる距離か」「担当者が続くか」の2点です。全国どこでもオンラインで進む業務は多いので、まず自社の業務が現場を見ないと分からない種類かどうかを確認してください。
Q. 何から相談すればよいのか分かりません。
A. 「いま社内でいちばん面倒な作業を1つ」だけ用意すれば十分です。整理されていなくて構いません。むしろ、そこから一緒に整理してくれるかどうかが、相手を見るいちばん分かりやすい材料になります。
Q. 助成金が使える会社を選んだほうが得ですか?
A. 助成金は「使えるなら使う」もので、依頼先を決める一番目の条件にはしないほうが安全です。人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は2027年3月末までの時限措置と公表されています。制度に合わせて導入内容を決めると、制度が終わったときに何も残りません。


