
「Microsoft 365からGoogle Workspaceに乗り換えたいけれど、過去のファイルとチャットを持ってこられないから踏み切れない」——中小企業の乗り換え検討で、よく聞かれる悩みです。
このハードルが1段下がる更新が、Google Workspace Updates から2026年8月25日に発表されました。Admin Console(管理者画面)から、OneDriveのファイルとTeamsのチャット履歴を、Googleの移行ツールの追加費用ゼロで一括移行できるようになっています。
この記事の要点
- OneDriveのファイル移行が、権限情報の忠実度(fidelity)を高めた形で、Admin Consoleから一括で回せるようになった
- Teamsのチャンネル・DMも、Google Chatへ一括移行できる形が正式提供された
- どちらもGoogle側の移行ツール費用は追加ゼロで提供される
何が変わったか
これまで、Microsoft 365からGoogle Workspaceへの引っ越しは「移行ツールをどこかから買ってくる」「外部の移行業者に頼む」のどちらかが前提でした。それが、Google Workspaceの管理画面のなかに「引っ越し用のメニュー」が正式に増えた、というのが今回の話です。
| 何を移す | 移行前の状態 | 移行後の状態 |
|---|---|---|
| OneDriveのファイル | 追加の移行ツール・外部業者が前提 | Admin Consoleから一括・権限情報の忠実度を高めた形 |
| Teamsのチャンネル/DM | チャット履歴の持ち越しは難しかった | Google Chatへ一括で持ってこられる |
| 移行ツール費用 | 別途見積もりが必要 | Google側の移行機能として追加費用ゼロで提供 |
一次ソースは以下2本です。数字や対象範囲は必ずこちらでご確認ください。
中小企業の経営者にとっての意味
派手なAI機能の話ではありません。ただ、**「乗り換え判断のハードルが1段下がった」**という意味では、AIの新機能より効く更新かもしれません。
1. これまで止まっていた検討が、もう一度机に乗る
「Google Workspaceに寄せたいけれど、経理・営業のOneDriveの権限を作り直すのがしんどい」——これで止まっていた会社は、もう一度検討していい状態になりました。
権限情報の忠実度(fidelity)が高い移行が公式提供されたということは、「部長は見られる」「経理チームだけ書き込める」といった細かい社内ルールを、移行後に一から組み直す前提でなくてよい、ということです。この作り直しコストが、これまでの最大の壁のひとつでした。ただし社内の細かい共有設定・アプリ連携・外部共有については、移行前後の棚おろしを一度行うことをおすすめします。
2. Chat履歴も「捨てなくていい」
もう一つ、地味だけれど効くのがTeamsのチャット履歴の移行です。中小企業では、業務のやりとりの多くが実はチャットの中に残っている——議事録には残さない細かい判断、口頭では言いにくいお願い、顧客とのやりとりの経緯など。
これまでは「移行するならチャットは諦めてください」が普通でした。それが、過去のチャットを持ってきたうえで新しい環境で仕事を続けられる形になりました。「引っ越しの日から前が空白」にならないのは、社員の実務にとって大きい話です。

Before → After:中小企業の乗り換え判断
| 場面 | この更新の前 | この更新の後 |
|---|---|---|
| 検討開始 | 「移行費用の見積もり」から止まる | 「1部署で試す」から始められる |
| 権限設計 | 全部作り直し前提で稟議 | 既存の権限を保ったまま検討可能 |
| Chat履歴 | 「移行しない」が既定 | 「移行する」が既定 |
| 判断の重さ | 全社の一大プロジェクト | 部署ごとの段階移行がしやすい |
使い道:まず1部署から
いきなり全社の切り替えは、規模に関わらず勧めません。**「まず1部署でOneDrive→Driveの引っ越しを試す」**が現実的な入り方です。
- 経理・営業・製造など、部署ごとに独立してファイルを使っている部門から
- 旧環境と新環境をしばらく並走させる期間を設ける
- 現場から「使い勝手」の声を集めて、次の部署に展開するか判断
この進め方は、AI導入が「止まる」会社と「動き続ける」会社の分かれ目で書いた「小さく試して、動き続ける形にする」考え方と同じです。移行も、AI導入も、一気に切り替える会社ほど途中で止まる——ここは中小企業に共通する現実です。
前提として整理しておきたいこと
「追加費用ゼロ」は、あくまでGoogleが提供する移行ツール自体の費用の話です。乗り換え全体では、以下のような費用・工数が別に発生します。
- Google Workspaceの月額ライセンス費用
- 移行の設計・検証にかける社内工数(部署ごとに並走期間を確保)
- 既存のアプリ連携・外部共有設定の棚おろし
- 社員向けの使い方ガイダンス
「タダで全部が動く」わけではなく、「移行ツールの費用というハードルが消えた」と読むのが正確です。
名古屋・愛知の会社が動くなら
「うちの Microsoft 365 資産、いつか整理したかった」——このモヤモヤが動かせる時期に入りました。TSUNAGARU AI LABO は、名古屋の生成AI導入支援 を軸に、乗り換えそのものより**「乗り換えたあとの業務が本当にラクになるか」**を先に検証してから進める伴走を行っています。
支援の内容はサービス紹介、料金の目安は料金ページからご覧いただけます。導入検討の全体像は中小企業がAI導入支援会社を選ぶ7つの視点にまとめました。無料相談フォームからお気軽にどうぞ。
よくあるご質問
Q. 追加費用ゼロというのは、本当にゼロですか?
A. Google側の移行ツール利用は追加費用ゼロと発表されています。ただし Google Workspaceのライセンス費用そのものや、移行の設計・検証にかける社内工数は別で必要です。「移行ツールに払うお金はゼロ」と読むのが正確です。
Q. 中小企業が今すぐ乗り換える判断をすべきですか?
A. 「今すぐ全社を切り替える」判断は不要です。効くのは、これまで「過去データを持ってこられないから」で止まっていた検討が、もう一度机に乗せられるようになった、という点です。まず1部署で試して社内の反応を見るのが順当です。
Q. OneDriveの権限設定は本当に維持されますか?
A. Googleの公式発表では「fidelity(忠実度)」という言葉で、権限情報を維持したまま移すことが強調されています。ただし社内で使っている細かい共有設定・アプリ連携・外部共有の扱いなどは、移行前に一度棚おろしすることをおすすめします。


